ブログ・エッセイ


グレゴリー聖歌、ジャズ、ビバップ、ミンガス、ドルフィ、コルトレーン、ジャズ喫茶メルヘン

朝起きてまず聴くのは、グレゴリー聖歌だ。これを聴きながら、メダカの餌やり、血圧測定、温灸など、一日が始まる。ウオーミングアップ、これで心が落ち着く。
朝食前に、また朝食後に、二階の自分の部屋に上がって仕事をするわけだが、ここで聴くのは、バロック音楽。一階・二階それぞれに設置してあるインターネットチューナーのOtto’s Baroqueというチャンネルで聴く。二階には、学生時分に京都寺町のヒエン堂で購入したアンプLUXMAN 707がまだ健在だ。LUXMANの入門機で一番安い機種だったが、気に入っていて、何度かの引っ越しや、部屋の移動にもずっと連れて回っている。
しばらくバロック音楽を聴いて、午後、すこし体が活性化してくると、インターネットチューナーをジャズに切り替える。チューナーの「お気に入り」に登録しているジャズは、ビバップだ。自分の部屋は東と北向きでほとんど陽が当たらないから、寒い冬など、日差しを求めて階下のノートパソコンの前で仕事をするのだが、階下だと、アップルテレビのビバップ系番組を聴くこともある。いずれにしても、流れてくる演奏家のものを、そのまま聴くということになるのだが、それもまず楽しい。
ジャズは、どちらかというと、フルバンドよりコンボのほうが好きだ。ソロも聴くが、やはりコンボでアルトサックスなどが入っているものがいい。エリック・ドルフィーやジャッキー・マクリーン、それにベースのチャールス・ミンガスが好きで、学生の頃からよく聴いてきた。
下宿の近くのメルヘンという小さな喫茶店に通って、マンガ雑誌やスイングジャーナルを読みながら聴いた。マンガは、少年マガジン、サンデーなど少年誌の五誌も読んだが、メルヘンに置いてあった『漫画アクション』『漫画ストーリー』も読んだ。それと欠かせないマンガは『ガロ』だ。これらは欠かさず毎週また毎月読んだ。
『ガロ』は、メルヘンの隣の「なかよし屋」という古本屋に時々置いてあったから、それを買ったりもした。そんなことからマンガというとどうしてもジャズと重なり合って思い出される。とくに白土三平の「カムイ伝」や、つげ義春の作品など、記憶の中ではジャズと絡み合って思い起こされる。
こうして今もジャズが好きで、よく聴いている。ジャズはレコードで聴く、という習性がなかなか抜けきれず、持っているジャズの音源はほとんどレコード盤だ。クラシックはCDでも買って持っているが、ジャズはレコード盤が大半、もう一つ好きなジャンルのシャンソンもだいたいレコードだ。
ところが今、レコードプレーヤは、回転ムラで不調、好きなジャズの演奏が選んで聞けないという事態が実に寂しい。レコードプレーヤは、図書館時代の同僚にもらったマイクロDD-100というものだが、故障しても重くて運び込むのが簡単でない。京都のハイファイ堂が店を閉めたので不便この上ない。大阪の日本橋まで、車で運ぶにはいささか運転があやうい。そんなこんなで、インターネットチューナー経由のビバップのジャズを聴いている次第だ。
ところで、最近ふと思ったのだが、50年代60年代のこうした、いわゆるモダンジャズの雰囲気を一番感じさせるというか、思い起こさせてくれるのは、ジョン・コルトレーンではないか、そのように思い至った。これまで、根を詰めて聴いてこなかったコルトレーンだが、即興演奏もメロディラインも、どこか秩序のようなものも残されていて、自分には合っているのかもしれないと思うようになった。
それにしても、はやくレコードプレーヤを直さないと、音楽を聴く楽しみが半減してしまうな。 (2018年11月3日 記)