ブログ・エッセイ
大根、おでん、スープ、命のスープ、畑の見映え
冬の家庭菜園では、大体どの畑でも大根を作っている。わたしの菜園でも作っている。わたしの野菜作りの腕では、大きく立派な大根は難しいが、まずおでんに入れられそうなそこそこの大根は何本か獲れる。
ところが実のところ、わたしはおでんの大根は好きではない。好きではないというより嫌いと言った方が潔い。あの歯触りと、ムッとする匂いがともかく苦手なのだ。
それでもわたしは菜園の冬野菜として大根を作る。その理由は、1.奥方は大根の煮たのが好きであること、2.大根おろしや大根なますはわたしも好きであること、3.そしてこれが大事な理由なのだが、大根を作ると畑の見映えがまことによい、ということだ。
こうして我が菜園の、決して大きくない大根も、さまざまに食卓にのぼる。そのひとつ、ここのところ凝っている料理は、大根を入れたスープ。もともと煮た大根は好きでないから、あまりスープにいれたこともなかったが、すこし小さくすればわたしも食べられる。食べられるというより、大根を入れると甘みが出て結構おいしいことに気が付いた。
「いのちのスープ」というのがあるが、わたしのスープは、季節ごとに獲れる野菜を放り込んで煮込む、というものだ。わたし、野菜は好きだが、とくだん菜食主義ではないので、なにか肉類も入れる。共同購入でベーコンのブロックを買っていたが、脂身が多すぎてためらわれる。今は、脂身の少ない豚肉の薄切りか、骨付きカルビを一つふたつ入れて煮込む。
野菜はといえば、白菜の外葉、キャベツの青い部分、それに今だったら、チンゲン菜や小松菜だ。これに大根を入れる。緑の首元の部分は大根おろしにして、先の方を入れたり小さい大根を入れる。これでスープが甘くなっておいしい。味が頼りない時は、コンソメを4分の1かけ入れてみたり、ナンプラーやオイスターソースで味付けをしたりするが、野菜だけでも結構おいしい。キャベツの青い部分は、以前に書いたように、杉浦明平先生のお墨付きだ。
こうして、大根スープがおいしいことに気づき、嬉々として日々野菜スープを作っているのだが、いずれ奥方に飽きられて、「もういい加減に…」と言われることだろう。でもその頃には、季節の野菜も変わってきているだろう。 2025年2月28日
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