ブログ・エッセイ


家庭菜園、白菜紫奏子、イカ墨

毎年のことだが、家庭菜園で白菜やキャベツを作るということは、言い換えれば、虫との戦いでもある。白菜など、定式通りお盆過ぎや秋口に種まきをしても、芽が出たところをかならず虫に食われて全滅する。やむなく白菜は苗を購入する。大根はそんなわけにはいかないから、種を蒔く。
近くの家庭菜園家をみても、どうも農薬を使って作っているようだ。だけどわたしたち三人組の菜園仲間は、農薬は使わないのが約束だから、虫に食べられ放題となる。はじめのうちは、箸をもって大根や白菜についた葉食い虫をひとうひとつつまんで取っていくのだが全く追いつかない。
しかたないから大根は時期を少しずらして種を蒔き、白菜の場合、虫に食われてどうしようもない苗はあきらめて、あらためて苗を買い増しする。白菜でも大根でも、少々虫に食われても大丈夫と言うくらい大きくまで生育してくれると少しは安心するので、虫に食われてしまうのか、白菜や大根が生育する方が早いか、そんな熾烈な競争になる。
大根や白菜につくのは小さくて黒い虫だ。ハムシというのか、ちいさくて丸く、箸で挟もうと思っても、ポロっとこぼれ落ちる。老眼になってきてしかも白内障も進行してきているから、虫だかゴミだか土だか食われた穴だかわからない。
幾度か植え直した白菜は、やはり時期を遅らせて作っているせいか、あまり大きくならない。まあ、育て方が下手なのだろうけど。それでもなんとか今年も、白菜をいくつかを収穫できた。
苗を植え付けては虫に食われ、買い足しては植え付けと繰り返しているうちに、だいぶ時期が遅れてしまい、苗屋に行ってたずねても、白菜の苗の時期が過ぎたと言われる。そんなとき、苗屋の店頭に、紫色の白菜(?)の苗が置いてあった。試しにそれを買ってきて、植えてみることにした。
すると時期になると、小ぶりなのだが一応結球してきて、白菜(?)らしくなってきた。喜んで収穫して食べてみる。ネットで調べるとこの赤い白菜は、紫奏子というのだそうだ。なかなかしゃれた名前だ。試みに、煮びたしを作ってみようと、出汁で煮てみたところ、なんとクダクダになり、しかも出汁ごと真っ黒になってしまった。白菜の煮びたしどころか、見たところイカ墨みたいになってしまった。食べてみたら美味しいのだけれど、どう見ても見栄えがわるい。
それでもサラダにして生で食べてみるとなかなかうまい。柔らかいし色もきれいだし、歯ごたえもいいし、美味しかった。来年は、たくさん要らないけれど、少しだけ作ってみよう。赤キャベツ代わりに使えるかもしれない。試行錯誤の日々だが、まあいい勉強にもなる。
2017年1月17日記