ブログ・エッセイ


家庭菜園、連作障害、混乱

3月になり、ジャガイモの種イモを植えこむ時期になった。
ジャガイモはナス科の作物なので、ナスだけでなく、トマトやピーマン、とうがらしなどとも仲間だ。これらわたしの菜園にとっては主力の夏野菜を続けて作ると連作障害がおきる。そのことは、家庭菜園を始めたころからよくわかっていた。
そんなことから、当初は「植え付けノート」を作っていて、畝ごとに作付けた野菜をメモして、連作はできるだけ避けてやってきた。ただ狭い農地に、あれこれと多品種をつくりたいものだから、それを完全に回避することは徐々に難しくなってくる。
ナス科だけではない。豆がことのほか好きなわたしは、毎年きまって、エンドウ豆・スナップエンドウ・お多福豆・絹さや、それにインゲン豆や枝豆まで作る。夏野菜のきゅうりだって、ゴーヤやカボチャなどと同じ仲間で、連作は避けるようにと指南書には書かれてある。どうしたものか。
考えた末に、当初、畝を東西に作っていたものを、一部、南北に作り替えた。連作障害の土壌を一部でも避けようと考えたのだった。すこしは効果があったような気もするが、同時にこれで、畝の構造がいっそうややこしくなって、植え付けノートも複雑になり、やめてしまった。
そうなるともう、一昨年昨年と、この畝で何を作ったかは、記憶にたどることになる。畝には特段に目印もなにもないから、記憶はますますおぼつかなくなり、歳を重ねるにしたがって記憶はますます怪しいものになっていく。
そうなるともう混乱の極致だ。「連作障害が怖くて家庭菜園なぞできるか!!」と、以前の作物を余り気にしなくなった。そして、こうして記憶が定かでなくなったことに「力を得た」わたしは、同じ畝にまとめて植えたりせず、あちこちに分散して植えることにしてみたのだった。あちこちにいろんな種類の作物を植えてしまえば、土も混乱するだろうし、だから連作障害を起こすにも、土壌自身も訳が分からなくなってしまうのではないかと考えたのである。われながらいいところに気が付いたじゃないかと、自分で自分をほめてあげようと一瞬ながら思ったのだった。
しかしながら、自然の摂理は動くことはないようだ。連作障害は、そんなこしゃくな細工に動ずることなく発生している。そうか、混乱したのは、わたしばっかりであったのだった。 2022年3月2日 記