ブログ・エッセイ


白菜、大根、葉くい虫退治、食物酢にニンニクと赤唐辛子、遠流、評判

白菜は少し遅めの9月中旬に菜園屋さんで苗を買ってきて植え付けた。大根も少し遅めに種まきした。
菜園屋さんで白菜の苗を買う時、「ポットに2つ苗があるけど、必ず分けずにそのまま植え付けてくださいね。そして途中で一本立ちにするんですよ」と、ご親切な忠告をいただいた。しかしながら、根がけっちい菜園家のわたし、一つのポットに2つある白菜苗、分けて植え付けたら二倍の収穫になるのでは、という我慢できない誘惑に負けて、ポットを切って2本に分けて植え付けた。
予想をしていたことだけど、かなりの苗は大きく成長せずに虫にやられてしまった。歩留まりはどのぐらいかな。5割かな。ならばどちらにしても一緒だったのかもしれない。いや苗屋さんの言うとおりにしていたら、もっと大きな苗になっていたかもしれない。いずれにしても確信犯の家庭菜園家にとっては「後の祭り」である。
大根は、種まきがうまくいっている箇所と、育ち方が遅く危うい箇所と、芽が出てもすぐに虫にやられてしまう箇所との区分が明白だ。肥料の関係か石灰の散布が少なかったのか、よくわからない。まずこの分なら、30本ぐらいは大きくなるかな。でもこれでは沢庵まで到達しないな。白菜もキムチにまでは届かない。
さてこの葉食い虫対策だが、いつも畑の帰り道に挨拶する上手菜園家と話したところ、なんだか農薬散布ではなく、根元に置くだけの薬があるとのこと。
4人で始めた今の家庭菜園、はじめに、「収穫は少なくても、農薬は使わない、有機肥料で頑張ろうぜ」と決めたこともあって、ずっとそのようにやってきた。歳も取っていまさら農薬が体に悪いなどとは思わぬものの、こうした農薬を使わない農法は、いわば「思想信条」の問題であり、世におられる「すこしで農薬を使わない作物作り」の農家さんを支援したいという「気持ちの持ち方」という問題なんだな。
だがこの「根元に置く錠剤農薬」というご教示には、いささか、信念も揺らいで、ぐらぐらっとしてしまった。葉食い虫を捕獲するのも、眼が悪くなったし、腰を屈めるのもつらいし、手元もおぼつかない。どうするか。
考えた末、結局、この根元に置く、という方式はやっぱり採用できず、ネットワークに出ている、食物酢+にんにく+赤唐辛子、の液を噴霧する、というやり方を試してみることにした。結果は、よくは分からないものの、少しは効果があるのかもしれない。しめしめとばかりに、さかんに食物酢散布。
と、しばらくすると、やりすぎたか、希釈が足らなかったのか、白菜の葉が焼けてきてしまった気がする。やむを得ない、しばらく中止せざるを得ない。
そしてやっぱり、一番確実な、「箸で葉食い虫をつまんで退治」という方式に戻ってしまった。まあいい、これも老齢菜園家には、眼にも、指にも、腰にも、腕にも、良いのかもしれない。
捕獲した葉食い虫は、豆腐の入れ物に水をはったものに放り入れ、少したまったら、これら葉食い虫諸君、遠流の刑に処せられる。潰してしまってもよいのだが、とりわけ幼虫にまで成長した虫は、ここまでよく見つからずに頑張ったと一言申し渡して、畑から遠くに放り投げるのである。二度と我菜園には戻ってこないように、と言い聞かせて。
この温情あふれる菜園家の我が畑、葉食い虫の間で、回覧板が回っているのか、情報共有がされているのか、捕獲されても殺傷をまぬがれるとの評判が評判を呼び、ますます集結し楽しく生活をしているようだ。まあいい、そういう家庭菜園のやり方しかできないのだ。仕方ない。やれやれ、である。
2025年11月2日 記