ブログ・エッセイ
NEW!! 阪急電車、宝塚線、神戸電鉄、粟生線、北条鉄道、北条町駅、加古川線、山陽電鉄、阪神電車、学研都市線、インドネパールカレー、孫、夏休み絵日記、計画、鉄っちゃん
8月19日月曜日は、小学校2年の孫と一日列車旅だった。
平素は、午後4時半ごろ、学童に孫迎えに行き、我が家で2時間ほど、宿題を見たりユーチューブのコダマチャンネルとかいうプラレールのバトルを楽しんだりするのが習慣となっている。
夏季休暇に入り、宿題の「夏休みのしおり」にある絵日記二つのうちの一つを完成させる、という大役を仰せつかってしまった。お盆前だったが、気になるので、その絵日記、「今日は、じいちゃんと夏休みに行く一日電車旅、の計画を立てました」というものでどうだろうかともちかけてみると、そうするというので、それを書くことにした。そして、「どこに行きたい?どの電車に乗りたい?」って聞いて、その計画を書かせることとし、絵は、旅程の路線図を描くこととした。
電車好きの孫はけっこう電車に詳しくマニアックである。どちらかというと電車の車体が好きで型番をよく知っている。電車の中では阪急電車の車両をこよなく愛している。
行先などを聞いてみると、孫は、北条鉄道に乗りたいと言う。ルートは、と聞くと、自宅の学研都市線大住駅からまずはJR宝塚に行き、そこから阪急宝塚線に乗りたいという。西宮北口までさがって、北口からまた阪急電車に乗り新開地まで行く、そこから北条鉄道の起点の粟生駅までは神戸電鉄粟生線で行くという計画だ。
おお、なかなかよい経路ではないか、わざわざJR宝塚まで行って阪急今津線に乗ろうという魂胆だな。すこし運賃が高くつくが、まあこんな列車旅も楽しかろうと思いながら、ともあれ、「夏休みの絵日記」には、「こんな計画をじいちゃんと立てました」と書いて、その責めを果たした。やれやれ。
ところがお盆も過ぎて、この孫、「あの計画はどうなっている?行かないのか、連れて行ってくれないのか」としきりに訴える。まあ計画だけというのもかわいそうだなと思い、暑い中だが電車旅なので少しは体の負担も少なかろうと、19日月曜日、一緒に出掛けることにした。「こどもイコカ」を作っておいてくれるように母親に頼んでおいて、時刻表をしらべ、絵日記通りの行程をつくって出かけたのであった。
ラッシュアワーを外しての旅程なのでまず混むことはない。それに基本的にはローカル線、また地方に向かう路線なので、座れる楽ちんな旅だ。
孫はこよなく列車を愛しているものだから、乗るのは先頭車両の運転士のうしろと決まっている。その特等の場所を確保して立って景色を眺めながら行くのである。保護者のわたしも、放ってはおけず、一緒に立って景色を見る。
ただ、阪急電車や神戸電鉄、阪神電車は、先頭車両のロングシートの最先頭座席に座れば立たなくても景色はよく見える。往路の、宝塚から西宮北口、北口から新開地までの阪急電車と、神戸電鉄の粟生線は運よくこの特等座席を確保できた。よかったよかった。とりわけ神戸電鉄の乗車時間は1時間ほどもあるのでこれは助かった。
当日はすこしゆっくり目の9時半ごろの電車で大住駅から電車に乗って出かけた。そんなことから、この遠回り行程の目的地北条鉄道北条町駅にたどり着いたのは午後1時半を回っていた。おなかが空いたので、北条町駅前のインドネパールカレー店でナンとカレーの遅い昼食にありついた。なかなか美味いカレーだった。
一人旅行の時は、山川出版の「各県歴史散歩シリーズ」を見ながら、寺社や史蹟を歩くのが常だが、今回はいささか暑くて、有名な五百羅漢のお寺にも行かず、あとはひたすら電車に乗って帰るだけである。じつは今回、法華口駅で途中下車をして駅のパン屋さんに寄ろうと思っていたのだが、あいにく月曜日は休みだった。それに、以前わたしが立ち寄ったときは、社会福祉事業の一環でのパン屋さんだったが、どうも今は代替わりらしい。いずれにしても月曜休みなので、孫の意向も聞いて、途中下車はやめてこのまま帰ろう、ということになった。時間が少しあり、北条町駅の観光案内所に立ち寄って話をしていると、係の女性が、キハ40のクリアファイルをくださった。孫は大喜びである。
帰路はJR加古川線だ。これも孫の希望である。一時間に一本ではあるが、うまく連絡をしてくれているから待ち時間はあまりない。この加古川線でも、運転士横に二人で立って景色を眺めた。右隣にはライバルの鉄ちゃんカップルが立っている。
車内で孫に、加古川駅からはJRの山陽本線の予定だけど、明石で乗り換えたら、山陽電鉄・阪神電鉄相互乗り入れの電車で梅田まで行けるがどうするか?阪神梅田から学研都市線の北新地駅まではすぐだが?と尋ねると、ためらいもなく、山陽電鉄に乗り換えるという。言う通りに明石で乗り換えた。こんな時イコカは便利である。山陽電鉄で明石から梅田までの旅程はけっこう長時間の乗車だ。だがここも運よく先頭座席に座ることができた。やれやれである。
ようやく梅田に到着した。阪神梅田駅とJRの北新地駅は近いので助かる。午後5時、夕刻のラッシュアワーにはギリギリだ。乗り換えからは最後尾の西改札口が近いので、最後尾の車両なら座れるだろうと考えて改札口から階段を下りてホームへ。すると、この孫殿、ここは先頭車両か?先頭車両に行こうではないかとのたまう。正しい発言だ、しかしながらもう列車も入線まじかだ。しょうがないのでホームの乗客をかき分けかき分け、7両分を先頭車両まで歩いた。もはや座れるべくもなく、また最先頭で立ちんぼうで車窓を眺める。
この最後の列車は、座席に座って居眠りでもしながらのんびりと帰ろう、と目論んでいたのだが、さいごのさいご、締めの列車が立ったままとなったので、これはいささかつらかった。
さすがの孫も疲れたと見えて、大住駅を降りた後、じいちゃんの家で一休みしてから帰るという。そんなこんなでようやく我が家にたどり着き、買い置きのアイスクリームを食べた。そして、念のためにと母親がリュックに入れておいてくれた着替えがあったので、二人で仲良くシャワーに入って汗を流した。楽しくもあったが、疲れ果てた一日であった。孫はわたしのことを、じいちゃんだが、マブダチだと思っている。
まあいい、「計画で書いた絵日記」だったが、一日旅として実現して、めでたしめでたしの列車旅であった。 2024年8月21日 記