ブログ・エッセイ


NEW!! 畑、分相応、不如意、ふにょーーーーい、来期

毎年年末に、「今年の世相を一言で表すと…」など言いながら高僧が大筆で字を書く年中行事がある。わたしはこれが嫌いだ。
そして同じく年末に、流行語大賞というのもある。これはもっともっと嫌いだ。
とまあ、かように言うことだけを言っておいて、いまわたしの気分を一言で言い表すとしたら、と考えてみた。そうして、それは「不如意」だな。何ごとも意のままにならぬ「不如意」だ。
畑の作業も、あらかじめあれとこれをやろう、と考えて出かけるのだが、その半分も達成できない。そしてその計画に取り掛かろうとしても、あれ?小さなスコップがない、ハサミがない。耕すにも鍬は思うようにふるえない。スコップも深くまで届かない。三度豆に掛けようとネットのところに歩いて行くとそのネットに足を引っかけて転ぶ。水を蒔こうとバケツに水を少し入れて運ぼうとするのだが、うっかりけつまずいて、長靴に水を入れてしまう。せっかく歩きやすいスニーカーで畑にやってきて畑で長靴に履き替えて万全の態勢で作業をしているのに、これで帰路スニーカーは濡れた靴下でぐちゅぐちゅになること必至だ。
不如意、不如意、不如―――意。日常生活にあっても言うまでもなく、ふにょーーーーい。

そして最近畑にきて思うのだが、いまの私たちの畑の菜園は、「分不相応」になってきたように思う。今の畑、老後の楽しみを菜園でと、気の合った友人4人と始めたが、数年経ったころ一人が急逝、3人になってしまった。仕方ないので彼の分を3人で分け合って頑張ってきた。だが歳を重ねてその広さがだんだん負担になってきた。
この農園、もとは田んぼで、雨が降るとずぶずぶ。上のお隣が地主さんの田んぼで、水が少し漏れ出すから、そのあたりの農地はずぶずぶ。だから梅雨の今の季節、耕すのがしんどい。そして雑草の勢い。
地主さんのご厚意で畔の草刈りをやってもらうことになった。だが畑だけでももうそろそろ白旗である。
さらにまた悪いことに、友人の奥方が脳溢血で倒れてしまった。かれにしてみれば畑どころではない。当然だ。そして今の季節、かれの畑は定式通り雑草が生い茂り、もう手のほどこしようもない。どうするかなあ。「続ける?」って聞くのも酷だし、わたしたちにとってもいささか「分不相応」で、「ふにょーーーーい」な畑だ。どうするかなあ。
とりあえず、わたし夫婦と、もう一人の友人夫妻と4人で、タイ料理を食べながら、今後の対策を練ることだけが決まった。どうしようもないのだが、タイ料理を食べながら考える。 2024年7月17日 記