ブログ・エッセイ
NEW!! 父、母、有料老人ホーム、ラジオ深夜版、スマホ、ブルートゥースイヤホン、NHKラジオ深夜便、夢の続き
わたしの両親は名古屋に住んでいたのだが、父親が脳梗塞で右半身が不自由になり、それを母親がなんとか介護してやってきていた。しかしながらこの母親も母親の腰痛がひどくなって寝込み、ついに、「ホームに入るので探してくれ」と言ってきた。わたしが50歳のときのことだからもう25年以上前のことだ。
兄の住む神戸と、わたしの住む京都で探したが、半身不随の両親が入れるホームがあまりない。両親の資産や年金なども分からなかったので、あまり高いホームはやめて、月々の払いが両親ふたりの年金でまかなえるホームで、入居金も、これなら、というリーズナブルなところを探した。25年ほど前のことだから、いまは事情も変わっているかもしれない。
大手の有料老人ホームは入居の基準がなかなかきびしくて融通が利かない。結局、個人のオーナーで所長さんの、こじんまりしたホームを、神戸の垂水と京都のわたしの住む京田辺二つが、受け入れてもいいと言ってくれた。そして両親の希望で京田辺に来ることになったことから、50歳で車の免許を取った。今から考えると無駄なことをしたなと思うのだが、免許はマニュアルで取得した。
この京田辺のホーム、そのときに「入居、いいですよ」、と言ってくれた所長さん、昨年だったか亡くなったと聞いた。わたしより二回りぐらい上のはずだ。
所長さんが亡くなったことは、わたしが30年来ずっと通っている散髪屋さんから聞いた。この散髪屋さんはここ数年、このホームに出張で出かけて入居者の髪を切っていて、その 時、あわせて高齢になった所長さんも散髪をしていたのだそうだ。なんとご縁だな、とその話を聞いておどろいた。
そんなことを思い出しながら、この両親、いくつでホームに入ったかなと考えてみた。そしてこれまた驚くことだが、父親が入居した歳は82歳ぐらいのはずで、神戸の兄の今の歳だ。そして母親はといえば、わたしの歳ぐらいで入居している。歳月が流れるのは早いものだなと実感してしまう。
あわせてもうひとつ思い出したことがある。両親がまだ名古屋にいたころ、夜寝られないときに母親は、NHKの「ラジオ深夜便」を聴いているといっていた。そういえば小さな携帯ラジオを枕元に置いておいて聴いていた。母親が亡くなったとき、そのラジオはわたしがもらって、しばらくわたしもそれを枕元で聴いていた。
母親がホームに入ったのと同じ年齢とになったわたしはと言えば、スマホのラジオで、「聞きのがし配信」を聴いている。わたしのスマホにはどういうわけかイヤホンジャックがなくてブルートゥースのイヤホンだ。これはわざわざ買ってペアリングした。
聞きのがしの番組のうち、「お気に入り」にいれているものは、畑で聴くクラシックやジャズの音楽番組のほか、「寝床で聴く用」として、「古典講読」「漢詩の時間」「音で訪ねるニッポン時空旅」などを登録している。
わたし、寝つきはいいのだが、歳を取って夜中にトイレに立つので、そのあと、時に寝られないことがある。そんな時に、このお気に入りの「寝床で聴く用」番組を聴く。制作者には申し訳ないかぎりだが、聴いていてあまり集中しないでよいし、適当に教養的でそのうちにウトウトできる。
それからもうひとつ、気づいたことがある。トイレに立ってそのあと、続けて寝入ることができるのは、トイレに立つ前に見ていた夢を覚えていて、その続きをみるという場合、ということだ。そうすると割によく寝入ることができる。これは結構な発見ではないだろうか。
だが夢ははかないものだから記憶していないことの方が多い。そんなわけで、寝られないときには、結局「聞きのがし配信」のお世話になるというわけだ。
確か「夢の続き」って歌があった。あれは、こういうことを歌ったものだったのかな。ちがうだろうかな。 2025年1月8日 記