ブログ・エッセイ


韓国唐辛子、ブレンダー、キムチ、顔、ひりひり

昨年はじめて、韓国唐辛子の苗2本を買って植えてみた。わたしたちの畑では、ピーマンやシシトウは地味が合わないのか、実を付けてしばらく収穫したあとに、ふわーっと立ち枯れてしまう。そんなこともあって、赤唐辛子の代わりに韓国唐辛子はどうだろうかと植えてみたのだった。
そうしたところ、思いのほか丈夫で元気、獲れは獲れる、枯れる様子もなくどんどん実をつけて秋半ばまで、数えきれないほど収穫した。さてその実をどうするか。色々調べて、醤油・みりん漬けにし、それを薬味にして、たとえば冷ややっこに少しかけるとか、サラダに少し入れるとかして食べた。たいそう辛いので少しずつなのだが、アクセントが効いて結構おいしい。初めはなんて辛いんだと思ったものだが、どうもこれは癖になりそうだ。濾したものを、オリーブオイルや酢と混ぜて、生野菜のサラダドレッシングとして食べたりもした。
冬になって、今年は白菜がたくさん獲れたのでキムチを作ってみようと考え、この韓国唐辛子を干してブレンダーでつぶして粉末にしたしたものを使った。この粉は、キムチの辛味だけでなく、普通に一味唐辛子にもなるから便利である。
天日干しにしてよく乾かした韓国唐辛子、まずまな板と包丁で種とへたを取る。たくさんあるからなかなか大変だ。そして困ったことに、その作業の途中でハナが出そうになり、気をつけながらティッシュでハナをかんでしまった。これがまずかった。鼻と顔全体とがひりひりする。途中でやめるわけにもいかないので作業を持続させ。ともかく種を取り除いて、少しはさみで小さくしたものをブレンダーにかけた。粉末が舞い上がらないように気を付けながら手で蓋をして粉砕する。それでも咳やくしゃみが頻発、ずいぶんと精が強い野菜なんだなと実感した。
粉末にしたあとは、鼻を中心としたひりひり感をなんとかせねばならない。石鹸で洗うかとも思ったが、念のためにインターネットで、「唐辛子・顔・ひりひり」で検索してみた。すると、ちゃんと出ている。水や石鹸で洗ってもひりひりは取れない、余計にひどくなるぞ、サラダ油・オリーブオイル・ごま油などのオイル分で洗うとよい、と書いてある。なるほど、水で洗ったらひどい目に合うところだった、危ないところだった。
しかしながら、長く図書館司書をして、レファレンス業務などといって仕事もしてきたのだが、こんなに手軽に簡単に調べることができるようになったのだなと、また実感したのだった。もちろんインターネットの情報利用は自己責任だし、正しいという保証もないのだが、そうした前提で利用すれば便利ではある。図書館の仕事も難しいところにやってきているなと改めて思ったことだった。
ところでわたしは、この韓国唐辛子を使ってキムチを作ろうとしているのだが、あまり考えもしないでインターネットでその作り方を確認しようとしてる。以前だったら、近くの図書館に行って、漬物のつくり方、といった本をあらかじめ借りてきておいて、それを見ながら作ったりしたものなのだが、昔人間のわたしでも、インターネット情報だけでキムチを漬けようとしている。おまけに油分でひりひり顔を洗うとよいということまで教えてもらった。わたしも充分にインターネットに漬かっているな、キムチもうまく漬かりそうだと、そんな気がしてきた。
2022年1月20日 記