ブログ・エッセイ


『戦前期外地活動図書館人名辞書』、武久出版、一庭啓二、琵琶湖蒸気船、一番丸

懸案の『戦前期外地活動図書館人名辞書』も、三校までをようやくをすませて装幀も決め、めでたく校了となった。刊行は5月末、定価は4000円で消費税を入れると4320円の予定だ。17年あまりかけてすこしずつ書き溜めてきたもので、ようやく刊行にこぎつけた。ひと安心である。
本書の刊行もようやく目途がついてほっとしたのもつかの間、ちょっとした情報が飛び込んできて、またお尻に火がついてしまった。というのは、先般、琵琶湖の蒸気船の一番丸船長であった一庭啓二の石碑が大津のお寺につくられたこと、それを報じた新聞の記事には、「ご子孫は不明」と書かれてあると。それを教えてくれたのは仙台に住んでいる息子の嫁である。なぜ仙台でこんな記事を目にするかと思うが、インターネットのニュースのひと隅に載っていたのだろう。
一庭啓二はわたしの奥方の曽祖父にあたり、墓所は大津市月見坂にあってこれまで毎年墓参を欠かしたこともなかった。またこの墓所のことなどはいくつかの人名事典などにも記載があり、子孫は不明という新聞記事に驚いたのである。
さらにまた焦ったというのは、ずいぶん前から一庭啓二の事績を本にしようと少しずつ資料もあつめメモも作成してきていたからで、とはいえ自分自身の書き物を優先していて、一庭啓二のことをこれまでずっと、後回しにしてきてこれここに至り、少し後悔し焦ったのであった。
石碑が建ったが子孫が不明といわれている。これはなんとか急ぎ本にしないといけない。お寺とも連絡を取らないといけない。
『戦前期外地活動図書館職員人名辞書』の刊行もめどがたって、ゴミ箱のようになってしまった仕事部屋の、コピーや本を整理しかけていた矢先のことだったが、これを中断して、一庭啓二の調査と記述を最優先にすることにした。
これまで何度か集中して資料も集めメモも作った時期もあったから、その継続ということになるのだが、継続といっても、またあらためて取り掛かるとなるとどうしても一からの始まりとならざるを得ない。
でもいい機会だと思っている。奥方の曽祖父の一庭啓二の事績を本にするというのは、結婚するときの約束でもあったから、今度こそ心を定めて、取り掛かることにしたい。がんばる。
2017年4月25日記