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『戦前期外地活動図書館職員人名辞典』、索引、『満鉄社員録』

『戦前期外地活動図書館職員人名辞典』は大詰めに来ていると書いてから久しいのだが、気がかりになっていた資料室の職員、とりわけ大きな組織の満鉄調査機関の資料室関係の職員の採録にとりかかってみることとした。当初は、取り残そうと思っていた領域だ。
大詰めなのに大きな作業となり、また『満鉄職員録』『満鉄社員録』をみても、主任のほかは調査部員であっても資料室担当とは確定できないから、本事典の採録範囲を考えると空振りの公算も大きい。まずは、社員録の類で、皓星社から複製が出ているものをながめてみた。
井村哲郎氏らの労作『旧植民地関係機関刊行物綜合目録-南満洲鉄道株式会社編』の附録に「満鉄調査機関変遷表」が載っていて、それらを参照しながら、関係者をみていく。この調査室関係の職員は、もちろん異動も多くあって、図書館関係者もいるのだが、調査部門関係者も多い。前者はすでに採録している人物として当たってくるのだが、後者が難しい。それでも、『資料彙報』に会議報告がある昭和15年1月、昭和15年5月、昭和16年4月の資料機関聯絡事務打ち合せ会議参加者の採録できたのは成果だった。
このように、次から次にやるべきことがでてきて、取り残してしまっているのではないかと心配になる事がどんどんが出てきて、際限ない。それに、先に書いたが、近年にはデジタル化と記事索引化が大きく進んで、見ないといけない記事が次々に更新されて出てくる。こんな書誌の出方だと、今後の研究の手法も結果もおおきく変貌をみせてくるだろう。それがよいことなのかそうでないのか、見極めは難しかろうと思う。わたしなどのような旧世代は、まったくのカード目録と冊子体の所蔵目録で所在を確かめるといった、そんな時代から図書館員をやってきた。そんなことから、検索で一発ピンポイントというより、あれこれと眺めまわして資料を覚えていく、といった時代を体験してきたから、なおさらそんな思いが強い。外交史料館の文書などがその好例だ。
ともあれ、10月18日に東京に行く予定ができたから、この機会に、版元の編輯者に会って、出稿という段取りにしたいと考えている。このホームページの名前の「おおすみ書屋」の出版物として刊行し、取次に口座のある出版社を発売元にしてもらって、DMでお知らせして、図書館関係機関に買ってもらうという方針だが、どうなることか。何部刷ればよいかの決断も難しい。多めに刷って定価を少しでも下げればよいのだが、そうすると売れなかった場合に版元の在庫が増える。判断にまようところだ。
A4のデフォールトの字数で503枚ほどにもなった。これに索引をつけるからもう少し分量は増える。年金生活者としては、この自費の出版は、大変な賭けになった。 2016年10月2日記